あの犬この猫そこの馬

自然を基調に、エソラゴトをのんびり考えていく

朝日が差し込む空の行方

ここでしばらく文章を書いていたことが、そのまま創作意欲につながってしまった。 一旦始めてしまえば、言葉を紡ぐことの難しさに改めて頭を悩まされ、必死になって頭の中の語彙をかき集めているうちに、気づけば一週間も経っていた。 暑くて日差しの強い日…

雪が降り、葉っぱの色素を抽出した日

もう数年前のことだというのだから、時間の流れは信じられない。 冬の、生物の実験だった。 夕方6時から始まる授業だったため、この科目を選んでいる生徒は少なかった。 総勢6人の小さなクラスだったのだ。 ほうれん草の葉をすりつぶして、それぞれの色素を…

黒猫と織りなす早朝のひととき

今週のお題「星に願いを」 近所の猫が、ときおり窓の外を通っていく。 なかなか猫をさわる機会のない私は、慌てて呼び止める。 急いで玄関の外に出て、怪訝そうに待っていてくれた猫と対面する。 しゃがみこむ。 手を差し出せば、猫はおそるおそる近づいてく…

厄介な怠慢にはヒノキゴケを少々

水平に伸びた太い枝の上。 はじめは、灰色のぽこぽこしたものが何か、よくわからなかった。 石か、キノコか、はたまた新種の生物か。 指で触ってみれば、硬く、少し爪を立ててみれば、やんわりと食い込んだ。 なんのことはない、ただの木のコブだった。 その…

空に泳ぐクジラ雲を眺めながら

空にクジラが現れた。 そんな話が小学校の教科書に載っていなかっただろうか。 確か、1年生の国語の教科書の、序盤か中盤あたりに。 あのお話を教室で音読してから、何年が経っただろう。 あの頃から、時間も場所も遠く離れてしまった今、空にくじらぐもを見…

二度会うのは青いトンボ

綺麗、を多用しすぎるとそこに込めたい言葉の重みがなくなってしまう気がするのだけど、 私の絶望的な語彙の中では他に言い表しようがないので、やっぱり「綺麗」と言うことにする。 生き物、とりわけ昆虫のもつ青色は、目に毒なほど深く鮮やかで、その上、…

自由に駆られ、馬、草原に駆ける

毎夏、市内じゅうの馬が集められ、解き放たれる高原がある。 だいたい5月から10月の間、馬たちは半野生的な自由を手に入れるのだ。 高原に連れてこられ、馬運車から降ろされ、手綱を外され、もう行っていいよと人間が一歩下がる。 すると、去年の高原の記憶…

猫気温計を考える -寝相と気温の科学-

科学とは名ばかりで。 きっと一年通して猫を見ている人ならとても当たり前の話なのかもしれない。 それでも私史上、半々世紀の大発見なので、ここに記す。 猫の寝相は気温の上昇とともにダイナミックになっていく。 温度に比例して無防備になっていく彼らの…

舞い上がっているのは心か影か

この前の休日、可愛らしい街路樹の影を見つけた。 少なくとも、その時はそう思ったのだ。 目に映る景色というのは、その日の気分によってずいぶんと変わるもので。 それはもう、文字通りに一変するのだから面白い。 空腹のまま歩けば、緑や赤や白なんかが鮮…

早朝の森で枯れ葉はさかのぼっていく

その森にはナニカが住んでいる。 雨が降った次の日の早朝。 久しぶりの日差しに気を良くしたナニカは、木々の少ない、少しひらけた場所まで出てきて、あたりを見回す。 ナニカは遊びたくてうずうずしていた。 強風でふるい落とされたマツボックリを一つ手に…

宇宙樹とサンドイッチと玄米茶

北欧神話に、宇宙樹と呼ばれる巨大なトリネコの木が出てくる。 世界樹。ユグドラシル。 色々な呼称があるらしいのだけど、私は今のところ「宇宙樹」が一番気に入っている。 なんだか、宇宙と聞くだけで、無限の広がりを持っているような響きが見えるのだ。 …

青い貝殻と海に生きる心

「これは全部ムール貝の殻」 この圧倒的な青さはなんだと何個か拾って見せたらそう教えられた。 たった一種類の貝殻が浜辺を覆い尽くしている。 きめ細かい砂浜も、こういうザラザラゴロゴロした濃い色の浜辺も、ひっくるめて海はいいものだ、と心から言えた…

超短編劇場「猫と人間の不調和なヒマツブシ」

玄関に網戸あり。 ハチワレ猫と背の低い人間、登場。 いっしょにお辞儀をする。 開幕早々に、見事な跳躍を見せる猫。 猫、網戸にへばりつきながら「あ、むし!」 人間、音に驚いて「なにごと!?」 猫、虫を見失い我に返りながら「ツメがひっかかっておりら…

夢うつつは試験官の色彩

なんの実験だったか、あまりよく覚えていない。 たしか、牛乳、豆乳、スキムミルク、低脂肪乳なんかを、試薬を使って特定するとかいう課題だった気がする。 数年前の生物基礎の授業だった。 これだけ綺麗な結果が出ていながら、5種類中3つは当てられなかっ…

マグカップで存在証明する日々

『西の魔女が死んだ』の中で、主人公が大切にしているマグカップの話が出てくる。 その部分しか覚えていないくらい、当時の私にとっては「自分専用のお気に入りマグカップ」は憧れだった。 それ以来、私のマグカップ探しが始まった。 家で使っているものはあ…

雨上がりに帰路につくものたち

足で踏みつけそうになってギョッとしたあと、慌てて道の端に避けた。 2匹のカタツムリだ。 その意味するところは、この歩道にいるカタツムリの数は計り知れない、ということだったりしそうで怖い。 その時は2匹しか見当たらなかったので、安心して観察できた…

"クマ追い"の遺伝子を継いでいるはずの犬

家族に迎え入れた犬の中では三代目。 近所の「クマ追い犬」を親に持つ犬、コマ。 「熊追い犬」とは実際に何をした犬なのかあまりわかっていないけれど、きっと名前の通り、里山から民家に近づいてきたクマなんかを追い払う役割をしていたんじゃないかと思う…

森に飲み込まれた神社は幻をみせる

神社の魅力はなんだろう。 昔住んでいた家の近くの山奥に、小さな神社があった。 朽ちかけた鳥居が何個も連なって、斜面に張りでた木の根っこを階段代わりに登っていくような、人間よりも獣の気配が色濃い神社。 杉で囲まれたその場所は、真夏でもひんやり涼…

コケが生み出す架空の箱庭 -チビ森-

小学生の頃、友達と「チビ森」と呼んで大事にしていた校舎裏のコケがあった。 コケの生えた地面は、まるで森が凝縮されたミニチュアがそこにあるようで、眺めているだけでワクワクした。 人差し指の第一関節にも満たない背丈の木々が、所狭しと生い茂ってい…

音楽と鳥肌と多様性の話

音楽を聴いて鳥肌を立つという現象は誰しもが経験できるものでもないらしい、と小耳にはさんだ。 音楽を聴いて鳥肌が立つのは特殊な脳の構造を持つ人だけが経験できるという研究結果 - FNMNL (フェノメナル) 私自身、音楽で鳥肌が立った経験は一度もない。 …

木漏れ日と日食。地面に浮かぶ三日月。

昨年の夏、北米で皆既日食があった。 その時ちょうどカナダに居合わせていた私は、日食の一週間前にちょうど自分の滞在先が太陽が欠けてみえる該当地域だと知る。 ぜひとも観察しようと、太陽を見る時専用の保護メガネを買おうとしたのだが、どこの店も売り…

ハチワレ猫はあくびをするばかり

先代の猫を亡くしてから数ヶ月後。 私が生まれる前から猫と暮らしてきたこの家は、ぽっかりと空いた穴に耐えられず、動物の里親協会から1匹の仔猫を新たに迎え入れた。 家に連れてきたとき生後半年ほどだったハチワレの仔猫は、親猫とはぐれた野良だったよう…

妄想が魅せるストップモーション

精神安定剤としてYouTubeに投稿されている変な動画は、時として非常に役立つものである。 中でもストップモーション系の動画は変わったものが多く、一度見始めると泥沼にはまったようにしばらく関連動画を漁ることになる。 ストップモーションの魅力は、何よ…

父の料理で明日をつなぐ

この前なんとなく時間ができて立ち寄った本屋で、『Hungry Student Book』という料理本を見かけた。 文字通り、学生がいかに短時間かつ低コストかつボリュームたっぷりの料理を日々作っていくか、というレシピ本で、何を作るか決めて臨むレシピというよりも…

老猫と仔犬は日向ぼっこで軒の下

先代の猫は、一人っ子の私にとって、生まれた頃からずっと一緒にいた幼馴染のような、兄弟のような存在だった。 私が生まれる1年くらい前、両親はアメリカンショートヘアの仔猫を2匹引き取った。兄妹の2匹は、里親待ちの最後の猫だったという。 仔猫時代の彼…

河の童が逃げた先

遠野物語に『姥子淵の河童』という話がある。 村の人が馬に水を飲ませようと姥子淵という河原に連れてきたところ、そこに潜んでいたカッパがいたずらしようと馬をつかんだが、思いのほか馬の力が強かったため逆に引きずられてしまい、馬小屋まできてしまう。…

アザラシは甲板で待ちわびる

ほんの少し疲れた気がして、脱力気味のときは、そのダルっとした感じのまま(場所が許せば姿勢を崩したりして)なにかゆるく癒しを求めると、ちょっと活力が戻ってくる。ことがある。 アザラシの"ゆるさ"は、そういうときの心によく染みわたる。 彼らの性格…

木の葉を隠すなら森の中。見てもらうのなら、入り口に。

木の葉を隠すなら森の中に。 個性を消すなら雑踏の中に。 葉に宿った個性を見てもらうのなら、森の入り口に置くといいだろう。 ハイキングコースと駐車場の境目あたりに一枚の葉っぱを見つけた。 茶色の地面にポツンと、周りと妙に浮いた色合いで視界の端っ…

地球ネコとつながる初夏の窓

『地球ネコ』という歌がある。 平沢進さん作詞作曲で、ひと昔前の2000年代に「おかあさんといっしょ」 で放送された曲だ。 その曲と歌詞が生み出す独特すぎる世界観は、当時の私でも異質さを感じるほど、ある意味でトラウマチックな景色だった。自我が崩壊し…

犬曰く「さあ諸君、会議を始めよう」

写真で一言。 あまりやったことはないけれど、ストーリー性のある写真が撮れた時は、思わず考えてしまう。 どんな場面がありえそうか、あれやこれや考えるのは楽しい。いろいろ言葉を当てはめてみたあとは、結局最初に直感で思いついたセリフに落ち着くのだ…