あの犬この猫そこの馬

自然を基調に、エソラゴトをのんびり考えていく

ココロオボエ

雪が降り、葉っぱの色素を抽出した日

もう数年前のことだというのだから、時間の流れは信じられない。 冬の、生物の実験だった。 夕方6時から始まる授業だったため、この科目を選んでいる生徒は少なかった。 総勢6人の小さなクラスだったのだ。 ほうれん草の葉をすりつぶして、それぞれの色素を…

空に泳ぐクジラ雲を眺めながら

空にクジラが現れた。 そんな話が小学校の教科書に載っていなかっただろうか。 確か、1年生の国語の教科書の、序盤か中盤あたりに。 あのお話を教室で音読してから、何年が経っただろう。 あの頃から、時間も場所も遠く離れてしまった今、空にくじらぐもを見…

森に飲み込まれた神社は幻をみせる

神社の魅力はなんだろう。 昔住んでいた家の近くの山奥に、小さな神社があった。 朽ちかけた鳥居が何個も連なって、斜面に張りでた木の根っこを階段代わりに登っていくような、人間よりも獣の気配が色濃い神社。 杉で囲まれたその場所は、真夏でもひんやり涼…

コケが生み出す架空の箱庭 -チビ森-

小学生の頃、友達と「チビ森」と呼んで大事にしていた校舎裏のコケがあった。 コケの生えた地面は、まるで森が凝縮されたミニチュアがそこにあるようで、眺めているだけでワクワクした。 人差し指の第一関節にも満たない背丈の木々が、所狭しと生い茂ってい…

老猫と仔犬は日向ぼっこで軒の下

先代の猫は、一人っ子の私にとって、生まれた頃からずっと一緒にいた幼馴染のような、兄弟のような存在だった。 私が生まれる1年くらい前、両親はアメリカンショートヘアの仔猫を2匹引き取った。兄妹の2匹は、里親待ちの最後の猫だったという。 仔猫時代の彼…

河の童が逃げた先

遠野物語に『姥子淵の河童』という話がある。 村の人が馬に水を飲ませようと姥子淵という河原に連れてきたところ、そこに潜んでいたカッパがいたずらしようと馬をつかんだが、思いのほか馬の力が強かったため逆に引きずられてしまい、馬小屋まできてしまう。…

どこか遠くから迷い込んだ犬は身の上話をしてくれない

5、6年の間、一緒に過ごした犬がいる。 家から車で30分ほどの高原で出会った、迷い犬だった。 ハスキーの血が混ざったその子は、1週間たっても高原に残されたままで、近所のちょっとした噂になっていた。その時はちょうど真夏で、あたりに飛び回るハエを空中…