あの犬この猫そこの馬

自然を基調に、エソラゴトをのんびり考えていく

命名「猫なで連鎖」

20℃に届かないくらいの初夏の午後、家に帰る途中の道端に、日向ぼっこしている黒猫がいた。かわいい。

もう一ヶ月近く猫とふれあっていない。なんとか撫でさせてもらえないものかと、買い物袋を横に置いて、近づいていく。初めは、2mほど離れたところにしゃがむ。それから手が届くところにまでにじりよって、手を猫の鼻先まで持っていく。それから思う存分、喉元やら耳の後ろやらをさわらせてもらった。

 

私の動きをずっと目で追っていたものの、だいぶのんびりした猫だった。首輪はしていなかったけど、きっと飼い猫だろう。綺麗な黒い毛並みと、標準体型をほんの少しオーバーしていそうな質量感、そしてとてもゆるい警戒心は、その午後の陽気にぴったりだった。

右側の首筋を撫でていれば、左側もやってくれとばかりに体重を預けてくる。かわいい。もっと他に例えようがあるかもしれないけど、贔屓の心にはどうしても勝てない。かわいかった。

 

平日の午後だったので人通りは少なかった。それでも、前から若い人が歩いてくるのが視界の端にうつって意識が現実に引き戻された。ひとしきり撫でたし、そろそろ行こうかと立ち上がって歩き出す。

狭い歩道を少し横にずれながら歩いてきた人とすれ違った。そこから数歩進んで、何気なく振り返る。猫が私が歩き去るのを惜しんでいないか、少し確かめてみたかったのだ。

 

猫と目があうんじゃないかと期待していたけど、違った。振り返った先に見たのは、さっきすれ違った若い男の人に撫でられている猫だった。のんびりと気持ちよさそうなのは、相変わらずに。

少し意外で、ちょっと嬉しかった。ただすれ違っただけの人と午後の気分が共鳴したみたいで、不思議と満足した。

 

そういえば、いつかの秋の夜にも似たようなことがあった気がする。道端の猫と、私と、通行人。

私はこれを、「猫なで連鎖」と勝手に呼んでいる。

 

見ず知らずの人と、言葉も交わさず、目すら合わないのに、猫を通して不意に重なる日常が、けっこう楽しかったりするのだ。

 

-Bicolour Cat-

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真っ黒と見せかけて、白の混じった猫だった。

猫なで連鎖、本当はもう少しマシな名称が欲しいところ。