あの犬この猫そこの馬

自然を基調に、エソラゴトをのんびり考えていく

道端の猫、しゃがみ込む人、放られた買い物袋

このブログ内でほぼ初めての「人との繋がり」っぽい話。

 

1週間前にも写真を載せた、道端で日向ぼっこする猫を昨日も見かけた。例の「猫なで連鎖」で登場した子だ。

どうやら、その猫の定位置は決まっているみたいで、この前と同じように午後の陽気の中、気持ちよさそうに眠っていた。

 

前回同様買い物帰りだった私は、前回同様買い物袋を横に置いて、迷わずその子を撫でにいく。前と違ったのは、トイレットペーパーの12ロールパックも買っていた分、荷物が少し多めだったことぐらいか。

 

黒と白が8:2ぐらいのその猫は、相変わらず落ち着き払っていた。私が一直線に近寄っていっても、目を開けてこちらを確認しただけで、寝ている姿勢はまったく崩さない。

通行人に可愛がられるのにはよく慣れているのかもしれない。きっと私のことも「しつこくかまってくるけど無害な生き物」ぐらいにしか思っていなかっただろう。

 

そしてここで、前回はなかった、ちょっとした事件が起きる。

 

私が一心に黒猫をウリウリとかまっている横で、突然クラクションが鳴り響いたのだ。

油断しきっていた猫も私もビックリして飛び上がった。道に背を向けていた私は、ほぼ耳元で鳴らされたような大きいクラクションの音に、何事かと振り返る。

 

そこには2台の車が前後に並んでいて、どうやら後ろの車がクラクションを鳴らしたらしかった。その時の私の状況判断が正しければ、前方の車がいきなり停止して、さらにはバックしてきたようだったのだ。それで後方の車が警告したのだろう。

見たところ、車同士がぶつかったり、大きな事故が起こったりしたわけでもなさそうだし、きっと私には関係のないところで、何か手違いでもあったんだろう。完全に他人事の気分でいた。

再び猫の方へ向き直ろうと考えていたところで、前方のバックしてきた車のウィンドウが開けられるのが見えた。

そこから運転手が顔を出して、「君、大丈夫?」と、明らかに私に向かって話しかけてきたのである。

 

つまり、買い物袋を投げ出して、道端でうずくまって動かない私を、もしかしたら気分が悪いんじゃないかと心配してくれたのだった。

その運転手は、私の横を通り過ぎたところで、万一を想定してブレーキを踏んでわざわざバックで戻ってきてくれたのである。

 

赤面するとは文字通りこういうことなんだろうと思いながら、私はとっさに笑顔で「いえ、猫を撫でていただけなんです」と大きめの声量で答えた。

運転手が猫に気づいたかはわからない。でも、少なくとも私に何の問題もないとわかるとそのまま走り去って行った。後方の車にも急かされていたからか、私と運転手との間で、会話らしいものはさっきの1往復だけだった。

 

申し訳なかったし、恥ずかしかった。

私が紛らわしい格好で座ってさえいなければ、住宅街にクラクションが鳴り響くことも、わざわざ私に声をかけるための苦労をかけてもらうこともなかったのだ。

 

でも同時に、そういう人がこの社会にいることに対して、少し安心したりもした。

今となっては、あの運転手に「ありがとう」を言えなかったことが、一番悔しい。とっさに弁明の言葉しか口にできなかったことが、とても悔やまれる。

 

先週は「猫なで連鎖」とか偉そうに言っていたのに、お恥ずかしい限りだ。

 

次は、自身の見栄えも気にしながら猫をなでることにしよう。

 

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クラクションが鳴る約1分前。一連の出来事の後、猫は何もなかったかのようにまた寝ていた。