あの犬この猫そこの馬

自然を基調に、エソラゴトをのんびり考えていく

地球ネコとつながる初夏の窓

『地球ネコ』という歌がある。

平沢進さん作詞作曲で、ひと昔前の2000年代に「おかあさんといっしょ」 で放送された曲だ。

 

その曲と歌詞が生み出す独特すぎる世界観は、当時の私でも異質さを感じるほど、ある意味でトラウマチックな景色だった。自我が崩壊しそうな、とでも言えるだろうか。

子供向けの歌のはずなのだ。

それなのに、急に宇宙空間に放り出されたような、壮大すぎる何かに包み込まれているような、目に映る景色に圧倒されて動けなくなってしまうような、漠然とした大人びた不安を感じさせる。

 

そして、歌に登場するのが「地球ネコ」である。(以下歌詞一部抜粋)

ママ あかい夕日がしずむ屋根のうえ

ママ 大きい大きいネコがみてるよ

あやしいヒゲで 空をちょっとなでて

とおい国へきき耳をたてて

ぼくにだけないしょで きかせてくれた

ママ とおいとおい海が波をたて

ママ ぼくをみてるよと歌うんだ

『地球ネコ』作詞作曲: 平沢進

この歌を耳にするたびに、頭の中には空に溶け込みそうなほど巨大なネコがこちらをじっと見つめている風景が浮かぶ。子どもは母親に教えようとするけれど、きっと大人には見えていないのだ。

幼い私にだけ見えて、大人には見えない、なにか。

 

幼い頃は、こうした風景が本当に見えていたような気がする。

「でんでらりゅうば」を歌いながら、本当に雲の間から顔を覗かせているような気がしていたし、誰もいないカラッポの家には、大人しか破れない結界が張ってあると思っていた。

そうした景色は、いつの間に消えて行ったのだろう。

 

思えば、子供向けなのに異質な空気をもった作品は、今になっても頭の片隅にしつこくこびりついているものである。

「地球ネコ」はもちろん、粘土アニメの「ぶーばーがー」や「ポピーザぱフォーマー」あたりは、(ある意味)共通した非現実感たっぷりのテーマを遠慮なしに見せつけてくる。

子供時代の記憶なんてごくわずかなのに、そこにしっかりと根を張っているこれらの作品たちとは、私の一つの原点として、ぜひこれから先も長く付き合っていきたい。

 

空と猫は、とても相性がいいと思う。

あの自由気ままさが、上空の広々とした隙間によく映える。

あの大きな二つの瞳で、本当に、どこか遠くから見つめられているような気がすることさえあるのだ。

そんな地球ネコが、窓に映しだされたのは、初夏の午後。

 

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