あの犬この猫そこの馬

自然を基調に、エソラゴトをのんびり考えていく

妄想が魅せるストップモーション

精神安定剤としてYouTubeに投稿されている変な動画は、時として非常に役立つものである。

 

中でもストップモーション系の動画は変わったものが多く、一度見始めると泥沼にはまったようにしばらく関連動画を漁ることになる。

ストップモーションの魅力は、何よりも現実の物体がありえない動きで独特の世界を見せてくれることにあると思う。コマ送りで眺める光景は、なんだかとても非日常的で、そしてなぜか幼少期を思い出すのだ。動く絵本、と例えてもいいかもしれない。

 

ストップモーション動画は、個人製作のものが多い。その分、製作者本人の不思議ワールドが全開に表現されているので、現実を忘れたい時なんかにはうってつけである。反面、あまりに奇抜すぎて混乱することもあるので、心を無にして鑑賞するのがいい。

その多くが音声なし、かつどこまでも良質な環境音へのこだわりを感じるので、全世界でその面白さを共有できることも大きな魅力の一つだ。

 

下の動画は、この界隈での超有名作品なのかもしれない。友人と面白さを共有したくて教えたら、もうすでに知っているという人が多かった。

約5年前に投稿された、PESというチャンネルによる、料理の模倣ストップモーション動画である。当時観たときに衝撃を受けたのを覚えている。この撮影技法ならではのいろいろな仕掛けが、心地いい環境音とともに繰り広げられている。

www.youtube.com

 

「妄想」が作り出す「本当」がある。

「フィクション」にしか伝えられない「真実」がある。

とくに夢なんかはそうで、表面上は意味のわからない出来事の羅列でも、深くまで探っていけば現状の自分が感じていることが素直に訴えられていたりするのだ。

 

架空と現実をつなぎ合わせ、さらに多くの人に共感してもらうのは難しいに違いない。

自身の頭の中の妄想を引っ張り出し、何かしらの伝達手段(言葉や音、形、色でも)に翻訳するのは身を切るような作業に違いない。

それを成し遂げた表現作品は、高い評価を受ける。

 

そんなことをずっとずっと昔から続けてきた私たち人間は今、膨大なデータベースの真っ只中にいる。この世の中は、人間の脳みそが生み出した妄想の海で満たされているようだと、たまに考える。

人間以外の種も夢を見るだろうけれど、現実にはないことをあたかも本当のように他人と共有する術を持っているのは、私たちを人たらしめる特徴だと思う。

 

この画面上で繰り広げられる文字の羅列も、地球上のどこかにいる人間が作り出した夢だったりするのだ。

 

追記:ストップモーション系の動画は自由度が非常に高い上に、作者のありったけの思いがぶつけられている。ほのぼのした雰囲気だけでなくホラーや容赦のない表現で思わぬ精神ダメージを受けることもあるので、気をつけたいところ。