あの犬この猫そこの馬

自然を基調に、エソラゴトをのんびり考えていく

早朝の森で枯れ葉はさかのぼっていく

その森にはナニカが住んでいる。

 

雨が降った次の日の早朝。

久しぶりの日差しに気を良くしたナニカは、木々の少ない、少しひらけた場所まで出てきて、あたりを見回す。

ナニカは遊びたくてうずうずしていた。

強風でふるい落とされたマツボックリを一つ手に取り、ちょっと考え込む。

地面にはたくさんの茶色い落ち葉と茶色いマツボックリ。

ナニカはもう少し色が欲しいと思った。

それで、枯れ葉を何枚かかき集めて、輪っかに並べ、その上にマツボックリをそっと置いた。

葉っぱの上に置くものはなんでも良かった。

マツボックリで閉ざされた円の中をナニカがじっと見つめているうちに、みるみる葉っぱの色が変わっていった。

半分だけ黄色に変わった枯れ葉たちを、ナニカは満足げに眺める。

眺めているうちにだんだんと飽きてきたので、もっと楽しいことはないかと、ナニカはその場を立ち去った。

 

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ナニカは、枯れ葉を、生きていた頃の青々とした葉に戻さなかった。枯れ葉の見た目をほんの少し新しくしただけ。

ナニカには死んでしまったものを生き返らせる力はないのか、それとも途中で飽きてしまっただけなのか。

いずれにせよ、落ち葉たちに再び生命が宿ることはない。

 

ナニカの正体は、なんでもいい。

森の妖精でも、小人でも、妖怪でも、魔法使いの弟子でも。

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それにしても、風が強くて、ナニカの輪を作るのには苦労した。

地面に落ちているものだけ、というルールを設けていたのだけど、落ち葉は軽くて、すぐ風に吹かれて飛んで行ってしまう。

自分自身の忍耐を褒めたい。

 

小学生の頃、ニルス=ウドという美術家の作品集を眺めるのが好きだった。

葉っぱや枝や木の実が、自然の中に、不自然な整合性を持って並べられているのが、不思議で面白かったのだ。

そんな彼の作品を思い出しながら並べてみたのだけど、なかなかに難しいものだった。

 

純粋な森の中身が、明らかにエントロピーの法則に反して設置されている様子は、自分で作っておいて言うのもなんだけれども、居心地が悪かった。

何かが起こっている、でもそれが何なのかがわからない。

計画もなく、"不自然な自然" を作ってしまったことに反省して、申し訳程度に「ナニカの物語」を付け加えてみる。

 

それでも作っている間は楽しかったのだ、救いようもなく。

 

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