あの犬この猫そこの馬

自然を基調に、エソラゴトをのんびり考えていく

黒猫と織りなす早朝のひととき

今週のお題「星に願いを」

 

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近所の猫が、ときおり窓の外を通っていく。

なかなか猫をさわる機会のない私は、慌てて呼び止める。

急いで玄関の外に出て、怪訝そうに待っていてくれた猫と対面する。

しゃがみこむ。

手を差し出せば、猫はおそるおそる近づいてくる。

完全には信用されていないのか、わざわざ大回りして、私の背後から歩み寄ってくる。

私もなるべく目で追わないように、その場に佇む。

猫はそっと手の先の匂いを嗅ぎ、何も食べ物を持ってないと知ると、ふいと歩き去ろうとする。

呼び止める。

猫は振り向き、はじめて私の顔を見上げる。

もう一度、思わせぶりに手を動かせば、猫は再び近づいてくる。

今度は、少しだけ、すりっと己の頭を私の膝に押しつける。

意味ありげに揺れるシッポに少しふれれば、撫でるのはそこじゃないだろ、と猫はまた頭を膝にこすりつける。

耳の後ろをかいてやれば、猫はさらに体重を預けてくる。

喉がゴロゴロと鳴り出す。

そこから、ゆっくりとした時間が始まる。

気づけば、二十分が経っていた。

名残惜しげに立ち上がれば、私たちの間に通じ合っていた何かはあっけなく消えて無くなった。

早朝だった。

そこにいたのは、猫と私だけだった。

人生というものは案外単純で、こういう時間のために生きていたりするのだ。

願わくは、またあの黒猫に会えますように。

そして、一抹の桃源郷を、もう一度。

 

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